長年同じ車に乗り続けると、メンテナンスを行っていても徐々に塗装が劣化していきます。
劣化することで新車当初の色艶がなくなるので、このタイミングで車を買い替えるかオールペン(全塗装)を行い、全体を塗り直すかなどを検討する方も多いのではないでしょうか。
ここでは、そのような方の為に、オールペンの種類や費用相場、オールペンを施工する際のメリットやデメリットなどを解説します。
Contents
オールペンのタイミングはいつ?
一般的に、自動車塗装の寿命は約10年程度と言われており、多くの場合では近い時期に色褪せや塗装剥がれなどの症状が見られるようになります。
当然の事ながら、日々のメンテナンスを欠かす事なく行う事で、維持できる年数は変わります。
塗装は一度劣化すると、急激に品質が悪化するので以下のようなタイミングをひとつの物差しにすると良いでしょう。
キズや凹みを修理するタイミングに合わせる
車体にキズや凹みが入った時の修理を行う際には、その部分も再塗装します。
周囲の色に合わせて塗料を調合して再塗装をしますが、どうしても微妙な色加減が異なるものになる恐れがあります。
小さなキズの場合だとあまり目立ちませんが、修理箇所が広範囲になると思ったよりも目立ってしまうのでオールペンを行い全体の色を調整します。
塗料の劣化や色褪せが目立った時
塗料が剥げたり色褪せが目立った時も、オールペンをするタイミングのひとつです。
塗料の劣化や色褪せが目立つと、部分的なダメージだけではなく広範囲に傷んでいる可能性があります。
車体のボンネットや側面などは日頃よく目につきやすく、メンテナンスもしやすいので極端な劣化は目立ちにくいですが、天井などは見落としやすく特に劣化が酷い場合もあります。
車体の色を変えてイメージチェンジする時
長く同じ車に乗り続ける場合に、純正の色ではなくご自身が好きな色などに変えてみたいなど、イメージを変えたい場合などにもオールペンを施します。
ご自身のラッキーカラーやツートンカラーなど、自由に変更することができます。
新車で車を購入された場合には、純正の色の中よりご自身が好きな色を選択して購入しますが、中古などの場合ではある程度予算と照らし合わせて妥協して購入するケースもあります。
そのような場合にも、自分が本当に欲しかった色に変更することができます。
車検や定期点検の時
車検や定期点検を行う時も、タイミングとしては良いでしょう。
車検のタイミングはあらかじめ決められているとともに、一時的に車を預けるのはオールペンする際も同じ事なので効率的になります。
オールペンには3種のグレードがある
オールペンとは、オールペイントのことで、その名の通り全塗装のことを指します。
車体の全体を塗装する中で、仕上がりや処理方法により大きく3つに分けることができます。
簡易的なオールペン
簡易的なオールペンは、ミラーやバンパーなどの車の本体パーツを外さずに、車体全体の塗装を行う簡易的な塗装方法のことを指します。
車体全体を塗装する際に、塗装が他のパーツに付かないように事前に取り外してマスキングテープなどで処置を行いますが、簡易的なオールペンではパーツの取り外しを行いません。
そのため、パーツを取り外す工賃や作業時間を大幅に省き、安価に塗装を行うことができます。
しかし、パーツを外さずに塗装作業を行うので、パーツの細部など細かい箇所の洗浄や塗装が行き届かない状態で塗装を行うので、最終的な塗装の仕上がりが綺麗にできない可能性があります。
費用を安価で済ませたい方向きのオールペンになるので、仕上がりの美しさを重視する方には不向きな施工になるでしょう。
一般的なオールペン
一般的なオールペンでは、簡易的なオールペンと異なり無理なく外すことができるパーツは事前に取り外して、部分的にマスキングテープを貼り塗装を行います。
そのため、簡易的なオールペンよりも細部まできれいな仕上がりになる傾向があります。
その反面、費用は簡易オールペンより高くなりますが、仕上がりの出来栄えと費用に対するバランスが良いので、一般的によく選ばれる塗装方法になります。
完全オールペン
完全オールペンは、車の取り外せるパーツをほぼ全て取り外してから塗装をする方法です。
そのため、美しい外装の仕上がりが期待できるので、塗装にこだわりが強い方や仕上がりの美しさを重視する方が選択します。
また、シートなどの内装パーツの取り外しを行ってからの塗装を希望する方などもこの方法を選択します。
前述の2つの方法と比べると、部品を取り外す作業や洗浄作業に多くの時間がかかるので施工費用は高額になります。
そのため、仕上がりに完璧を求める方によく選ばれる塗装方法です。
オールペンの費用相場
オールペンには、簡易的なもの・一般的なもの完全なものがあります。
それぞれに利点はありますが、費用は大きく異なります。
ここでは一般的なオールペンの費用に関して解説します
一般的なオールペンの費用相場
一般的なオールペンの費用相場は以下のようになります。
車体の大きさによる クラス分け | 参考車種 | オールペン費用相場 |
---|---|---|
軽自動車Sクラス | アルト、ミライース、ライフ、キャロル、ラパン | 17万円〜32万円 |
軽自動車Mクラス | ムーブ、ワゴンR、デイズ、モコ、ステラ | 19万円〜35万円 |
軽自動車Lクラス | タント、N-BOX、スペーシア、アトレー、エブリィ | 20万円~39万円 |
普通車Sクラス | フィット、ヴィッツ、スイフト、パッソ | 22万円~37万円 |
普通車Mクラス | シビック、カローラ、キューブ、ソリオ、ティーダ | 24万円~40万円 |
普通車Lクラス | プリウス、カローラフィールダー、プレミオ、アイシス | 28万円~42万円 |
普通車LLクラス | インサイト、インプレッサワゴン、プログレ、カムリ | 30万円~45万円 |
普通車3Lクラス | クラウン、マークX、フーガ、スカイライン | 40万円~50万円 |
ミニバンSクラス | シエンタ、ルーミー、フリード、タンク | 30万円~53万円 |
ミニバンLクラス | ヴェルファイア、アルファード、エルグランデ | 65万円~80万円 |
一般的なオールペンの費用相場は、前述のような費用感になりますが鮮やかな赤系や黄色系などのカラーは色味を出すのが難しいので、塗料費用自体が相場よりも割高になる傾向があります。
また、ワンボックスタイプや大型SUVなどの車種は塗装面積が大きくなるので、塗料を通常よりも多く消費するとともに作業工程が増えるため、面積分の料金が追加で加算されます。
塗料により値段が異なる
一般的に、メタルのフレークやパールなどが含まれていない単体の塗料をソリッドカラーと呼びますが、費用的にソリッドカラーは単色になるので1番安い価格帯になります。
また、施工面でも塗装がしやすいために安価になります。
ソリッドカラー以外の塗装では、以下のような種類があります。
塗装の種類 | 特徴 |
---|---|
メタリック塗装 | ソリッドカラーに微細なアルミ片を混ぜた塗料 アルミ片の大きさも様々なものがあり、光に反射してキラキラとした輝きになる |
パール塗装 | 石の雲母を微細な粉末にして、ソリッドカラーに混ぜた塗料 光が当たると透過しつつ複雑に反射をして、真珠のような輝きを放つ |
マジョーラ塗装 | マジョーラカラーは、光が塗料に当たると50%が表層で、残り50%が中層で反射するように作られた塗装 光源や見る人の位置により2色以上の色変化を待つ |
キャンディー塗装 | キャンディーのように半透明で、透き通った塗装 鏡面のような輝きを出せる 他の塗装の上に塗り重ねることも可能 |
オールペンでの塗装は、単色で施工を行うソリッドカラー塗装が最も安価となります。
それ以外の塗装は、非常に技術が必要となりソリッドカラーよりも5万〜10万程度高くなります。
価格に関しては、車種やオールペンをする方法などにもよるので、特殊なカラーリングでの塗り替えを検討されている場合には、一度塗装の専門店に見積もり相談すると良いでしょう。
オールペンを施工すると車体の買取評価が下がる?
所有している車を手放す際の買取評価は、車の年式や車種の人気の他に装備されているナビやオーディオなどを考慮して査定されます。
その際に、当然の事ながら外観も考慮されるので傷の有無や塗装の状態も評価のひとつになります。
純正カラー以外だと売れにくい傾向もある
車体の色に関しては、純正の色が売れ筋であるケースが多いので、全塗装して別の色にしてしまうと売れ残る可能性があり査定額は一般的に下がると言われます。
特に奇抜なカラーにしてしまうと、販路を狭めてしまうので買取価格は下がる傾向にあります。
メーカーの塗装技術は非常に高い
純正の塗装は非常に品質が高い塗料を使用しているとともに、技術力が高いので過酷な環境でも劣化しにくい傾向にあります。
オールペン専門店での施工では、技術力がないと塗装の劣化が早くなってしまい自動車メーカーが塗装した品質を上回ることが難しいとされています。
そのために、オールペンしてしまうと買取価格が下がることもあります。
全塗装しても査定が下がらないケースもある
オールペンは修理履歴とならないので、純正と同色に施工した場合は見た目が美しくなるので査定額がプラスに動くこともあります。
特にスポーツカーなどの希少車などは、スタイリッシュに塗装をカスタマイズすることでオリジナル性を打ち出します。
このような車種では、趣味色が強い色の方が査定は上がることがあります。
クラシックカーなどの場合でも、レストアの状態やオーバーホールにかかる費用やオールペンにかかる費用も査定に加算されるので、質の高いオールペンを施すことで査定を上げることができます。
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オールペンのメリットは?
自慢の愛車に美しい塗装を施すと、自然と愛着が湧き満足感の高いものになります。
実際にオールペンを施工する際のメリットは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、メリットを紹介していきます。
オールペンで新車同様にリフレッシュできる
長年同じ車に乗り続けると、飛び石などにより細かな傷がついたり、日々車を使用する中で細かな擦り傷などが発生します。
見た目にもあまり良いものではなく、塗装が本来もつ輝きも損なわれます。
オールペンを行うことで、細かな傷や凹みも補修することができ新車同様の外観を取り戻すことができます。
キズをそのまま放置しておくと、錆などの原因になり更に放置すると高額の修理費用が必要になる場合もあるので、車体をリニューアルする意味でもオールペンは重要です。
塗装で車体の保護効果を高められる
車は長年雨ざらしの状態になることが多いので、酸性雨や紫外線で塗装が劣化しやすくなります。
そもそも塗装は、車体を保護する役目で施工するので、劣化すると錆の原因などに繋がります。
一度塗装が劣化してしまうと、ワックスなどのコーティングでは復元が困難になります。
オールペンを施すことで、車体の保護効果を改善させることが期待できるので、愛車を末長く乗り続けることができるでしょう。
中古車としての査定を上げることができる
前述でも解説しましたが、オールペンを施すと場合によっては査定額を上げることができます。
特にヴィンテージカーなどの人気車種の場合には、レストアオールペイントと呼ばれる新車発売当時の外装に近い塗装を施すことで、当時の質感を再現させ査定額を上げる可能性を高めることができます。
オールペンのデメリットは?
オールペンには多くのメリットがありますが、事前に確認しておきたいデメリットもあります。
オールペンの施工には時間と費用がかかる
オールペンを施す際には、前述のように15万円〜80万円程度の費用がかかります。
更に細部までこだわり仕上がりや品質を期待するのであれば、費用は更に高額になります。
また、施工には簡易的なものでも1週間から2週間の期間が必要になり、完全なオールペンなどでは1ヶ月〜2ヶ月の期間を要します。
車中心の生活の方は、代車や他の交通手段を用意する必要があります。
査定価格が下がる恐れがある
基本的に純正の色にオールペンする際には、大きく査定が下がることはありませんが、純正から異なる色に変更した際にはカスタムカー扱いとなり買取価格が大きく下がる恐れがあります。
査定価格が下がらない場合でも、オールペンを施した金額分以上に査定額が上がることはほとんどないので気をつける必要があります。
業者により塗装の品質・耐久性が劣るリスクがある
純正の塗装は高品質な塗料を高度な技術を用いて施工されているので、純正と同等の品質や耐久性をオールペンで再現することは非常に難しく、多くの場合は純正よりも劣る品質になります。
特にオールペンは部分的な塗装と異なり、業者によって仕上がりが大きく異なります。
高額な費用を支払ったとしても、金額に見合わない仕上がりになることも中にはあります。
そのために、コストに見合った高い技術の塗装業者に依頼する必要があります。
オールペンはどこの業者に依頼する?
オールペンを依頼する先は、主に以下のような業者になります。
- 板金塗装専門業者
- 自動車整備場
- カーディーラー
- カー用品店
カーディーラーらカー用品店は、基本的に自社で塗装は行っていないので費用面では外注になるので中間マージンが発生して高くなる傾向にあります。
自動車修理工場などでも、オールペンに対応した業者もありますが技術がある業者なのか見極めて依頼する必要があります。
板金塗装業者は、すべて自社で施工を行うので、費用面や施工期間面など含めて最も費用と仕上がりのバランスが期待できます。
オールペンを行う際の費用が安いのは重要ですが、施工方法や過去の実績などもしっかりと確認した上で信頼できる業者を選ぶ事が大切です。
まとめ
オールペンの種類や費用相場、オールペンを施工する際のメリットやデメリットを解説しました。
車の塗装は、約10年程度経過すると劣化が目立ち始めます。
適切な管理やメンテナンスを行うことで長く保つ事ができます。
オールペンを行うタイミングとしては、キズや修理、車検や定期点検のタイミングで行うと効率的です。
オールペンは、車体を新車のように甦らせる事ができる反面、中古として買い取ってもらう際には査定を下げる要因になることもあります。
オールペンを専門の業者に依頼すると、平均して30万〜40万程度の費用がかかるので、前述のメリットやデメリットを参考にして後悔しないように決めると良いでしょう。