「車のオールペンをすると査定額が下がる」という話を耳にしたことがある人は意外と多いのではないでしょうか。
実際に、オールペンのやり方によっては車の査定額が下がることはあります。
では、ボディが美しく生まれ変わるのになぜ査定額が下がるのかと疑問に感じるでしょう。
そこで、ここでは「車のオールペンをすると査定額が下がるのか」について解説します。
また後半では「オールペンした車の査定額を上げるためのポイント」もご紹介するので、オールペンについて詳しく知りたい方は是非参考にしてみてください。
Contents
車のオールペン(オールペイント)って何?
車のオールペン(オールペイント)とは車を全塗装することを言います。
全塗装とはボディを全て塗り替えることで、新品同様に美しく仕上がるものとして人気です。
オールペンには大きく分けると3つの種類(簡易・一般的・完全)があります。
オールペンの種類
オールペン(簡易) | 部品を外さずに全塗装する |
---|---|
オールペン(一般的) | 簡単に取り外せる部品のみを取り外して全塗装する |
オールペン(完全) | 取り外せる部品を全て取り外して塗装する |
このように、全塗装といっても工程や丁寧さに違いがあり、それによって仕上がりの美しさや費用が変わってきます。
美しく仕上げるためには完全なオールペンがおすすめですが、費用や時間がかかるのでご自身の目的に合った種類を選ぶのが良いでしょう。
オールペンをする際には、どの程度の仕上がりにしたいか、どれくらい費用や時間がかけられるのかについて考えてみましょう。
オールペンは修復歴になる?
オールペンは基本的に修復歴としてカウントされません。
修復歴がある車とは、車体の骨格部分を修理した車のことなので、外装を塗り替えるだけの作業では修復とはみなされません。
車体の骨格って何?
下記の部分が車体の骨格です。
これらの部分を修理・交換した場合に修復歴があると判断されます。
- フレーム
- フロア
- ピラー
- ルーフパネル
- クロスメンバー
- ダッシュパネル
- トランクフロア
- インサイドパネル
ちなみに、全塗装は修理・交換とは違うため、修復歴に含まれません。
修復歴があると思われる場合もある
オールペンは修復歴にはなりませんが、場合によっては修復歴があるように思われることもあります。
以下のような場合は注意しましょう。
- 経緯がはっきりしていない
- 車体の取り扱いが悪かったように思われる
など
このように経緯や理由が分からない作業の跡がある場合などは、修復歴があると思われてしまうことがあります。
オールペンした車を査定に出す場合は、オールペンを行った経緯や理由をしっかりと説明しましょう。
事故歴と修復歴の違いは?
修復歴と似た言葉に事故歴という言葉がありますが、その違いについてしっかりと理解していますか?
この二つは似ているようで違うので、二つの言葉の意味を理解していきましょう。
事故歴 | 修理が必要なほどの事故を起こした場合につく |
---|---|
修復歴 | 事故や自然災害で車の骨格部分を修復した場合につく |
つまり、事故を起こしても簡単な修理(塗装・小さな部品の交換など)だけで済んだ場合は、事故歴がつくけれど修復歴がつかないということになります。
修復歴は隠せる?
車を査定に出すときに、少しでも査定額を上げるために修復歴を隠したいと思う人がいます。
オールペンしてから査定に出せば修復歴をごまかせるのでは?と考える人もいますが、それはほぼ不可能です。
査定額を出す際には、車の専門家である査定士が車内部や車底部まで細かくチェックします。
オールペンするにも費用がかかるため査定額UPのための目的だけで行うのは控えましょう。
なぜオールペンすると車の査定額が下がるの?
製造のタイミングで行った塗装よりも技術が劣る
やはりメーカーは技術力が高いので、塗装レベルも非常に高いです。
そのためオールペンした車よりも新車時にされていた塗装の方が上質で高く美しさが長持ちすることが多いです。
このように、新車納入時の塗装の状態と比較して悪くなるため査定に響きます。
経年劣化の速度が速まる
上記でも説明したように、オールペンの塗装は質が落ちるため迷年劣化の速度も早くなってしまいます。
車は紫外線や雨風の影響を直接受けますが、その際に塗装の質が良ければ劣化の速度も遅くなるでしょう。
美しく保つという意味では新車時の塗装が最適と言えます。
純正カラーの方が売れやすい
何といってもボディのカラーは純正カラーに人気が集中します。
奇抜な色や珍しい色を好む人もいますが、万人受けしないためなかなか売れないことが多いです。
また、純正と似たような色を塗っても微妙に色が変わってしまうため分かる人が見ると一目で分かってしまいます。
やはり純正カラーが一番人気で一番売れやすいため査定額だけを考えるとオールペンはおすすめできません。
買い手見つかりにくくなる
買い手がつきにくい車はどうしても査定額が下がります。
カラーを塗り直している車は一般的に買い手が見つかりにくいため、高く売れにくいということです。
車を買う時には長く乗りたいと考える人が多いため、塗装の質にも注目する人が増えます。
また、純正カラーとオールペンした車のカラーは同じ色でも多少違うので、それが嫌だと思う人も意外と多いです。
車を買取りする業者は、売れやすい車を買い取りたいという本音があります。
このような理由で査定額が下がることは多いですが、場合によっては査定額が上がることもあります。
次にオールペンが車の査定額を上げる場合についてご紹介します。
オールペンが査定額を上げる場合もある?
一般的にはオールペンした車は査定額が下がってしまいますが、旧車やクラシックカーなど希少価値が高い車をレストア&オールペンした場合は話が別です。
レストアをする車は製造から数十年経過していることが多いので、全塗装するのが基本になっているので、レストア車の場合は全塗装しても査定額が下がる可能性は低いです。
それどころか、レストアとオールペンの仕上がりが美しい場合は、査定額が上がる可能性すらあります。
ただし…
クオリティが高いレストアとオールペンをするためには、ある程度の費用・時間がかかります。
レストアとオールペンにかかる費用よりも買取り額が高くなるということはかなり稀だということを理解しておきましょう。
オールペンしても査定額が上がる可能性がある車
クラシックカー
クラシックカーは年式や車体が古いですが、希少価値が高く人気があります。
また、クラシックカーをレストアして乗る場合はオールペンしていた方が車体の状態が良いことが多いので、オールペンしている状態の車体の方が査定額は上がることが多いです。
ただし…
レストア車の買取りについての考え方は、買取り業者によってかなり違いがあるので、同じような状態でも買取り金額がかなり変わってきます。
レストア車を売りたい場合は、いくつもの業者で査定を受けましょう。
スポーツカー・カスタムカー
スポーツカーやカスタムカーは希少価値が高いため、オールペンした状態が良ければ査定額が上がることがあります。
また、このような車が好きな方は珍しい色を好むことも多いです。
スポーツカーやカスタムカーの買取りを主に行っている業者で査定を受けるとさらに金額が上がることがあるのでおすすめです。
仕上がりがかなり美しい車
オールペンをした車は基本的に査定額が下がりますが、仕上がりがかなり美しい場合は査定額が上がることがあります。
きれいに保つためにオールペンをするくらい車を大切にしている人は、塗装だけでなく車体や内装も美しく保っていることが多いため、査定額が高くなる可能性が高いです。
では、次にオールペンのメリットとデメリットをご紹介します。
車のオールペンにおけるメリット
ある程度の費用や時間がかかるオールペンですが、メリットがあるからそれを行う人がいます。
オールペンには一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
新車のように美しい仕上がりになる
オールペンをすると新品のように色鮮やかになりボディが蘇ります。
カラーも自分の好きな色に変えられるので、純正にはないカラーに挑戦することもできます。
純正と同じようなカラーにしたいという場合も、同じカラーを塗り直すことができるので珍しいカラーや奇抜なカラーが苦手な人は元の車のカラーを塗り直すのもおすすめです。
好きなカラーにチェンジできる
上でもご紹介しましたが、オールペンすると純正にはない自分の好きなカラーに変えることができます。
車の形や造りは好きでも色が気に入らないという場合は、車体を購入した後にオールペンするのもおすすめです。
人とかぶりたくない、個性的な車に乗りたいという人にとってオールペンは最適な方法です。
車のオールペンにおけるデメリット
物事はメリットがあれば必ずデメリットもあります。
オールペンにもメリット同様デメリットがあるので、そちらも確認しましょう。
査定額が下がることが多い
基本的にオールペンすると査定額が下がることが多いです。
純正と同じカラーに塗り直したとしても、製造時に塗られていた塗装よりも質が高い塗装を再現できることは少ないため、査定額に影響します。
純正ではないカラーに塗り直した場合も、珍しい色は買い手がつきにくいため査定額が下がることが多いです。
いつか買取りしてもらうことを視野に入れている場合は、全塗装を避ける方が良いでしょう。
ただし…
塗装の状態が著しく悪い場合は、オールペンしたほうが査定額は上がることもあります。
しかしオールペン自体にも費用がかかるため、どちらが費用を抑えられるかは微妙なところです。
オールペンには品質が悪いものもある
車のオールペンは、職人の腕によって仕上がりがかなり変わってきます。
丁寧で上手な職人さんにオールペンしてもらうと美しい仕上がりになりますが、あまり上手でない職人がオールペンすると塗りムラが出たり、塗装が剝がれやすかったりします。
オールペンはそれを行う職人さんに腕によって仕上がりに差が出るので、依頼する業者を選ぶ際には注意が必要です。
特にオールペンにかかる費用が安すぎる工場には注意しましょう。
費用が安い場合はオールペンにかかる必要な工程を削っている場合があるので、美しい仕上がりにならないこともあります。
オールペンを依頼する業者を選ぶ際には、費用だけでなくどのような工程で行うかもチェックしておきましょう。
美しく塗装をするためには費用がかかる
オールペンをすると新品のように美しく車が蘇ります。
しかし、きれいな仕上がりを目指せば目指すほどそれにかかる費用も上がります。
美しくオールペンをするためには、工程数が多いオールペンを依頼することになるので費用だけでなく時間もかかると思っておきましょう。
車を売りたい場合はオールペンするのを避けるべき?
車の査定額を上げる目的でオールペンしようと思っている場合は避けるべきです。
その理由は以下の通りです。
オールペン自体に費用がかかる
査定額を上げるためにオールペンをしても、オールペン自体に費用がかかるため結局は費用がかかります。
また、オールペンした車の買い取りを控えている業者も多いので、買取り金額を上げるためのオールペンはおすすめできません。
買取り工場自体に塗装できる設備があることが多い
買取りを行っている業者や工場の多くは、車の塗装ができる設備を整えているところが多いです。
オールペンが必要なほど色あせがひどい車を売る場合は、買取りの際にその業者や工場で塗装してもらいましょう。
基本的に、業者は車を買い取った後に細かな傷の修復や再塗装を行ってから売り出すので、オールペンするかしないかも業者に任せるのがおすすめです。
一般的にオールペンをすると査定額が下がりますが、仕上がりによっては査定額が上がる可能性もあります。
オールペンした車の査定額を上げるためのポイント
オールペンした車は基本的に査定額を下げてしまうことが多いですが、オールペンをした車の査定額を上げるためにできる工夫もあります。
そこで、これからオールペンをした車の査定額を少しでも高くするためのポイントをご紹介します。
細かく丁寧な塗装
オールペンをした車の査定額を上げる場合は、オールペンの質が高いことが重要です。
仕上がりが丁寧で美しければ査定額も上がりやすくなります。
また、見た目だけでなく塗った塗装の質も良いものであることが大切です。
腕の良い業者に美しく塗装してもらいましょう。
ただし、オールペン自体にも費用がかかります。
査定額を上げるためにオールペンをしてもオールペンにかかる費用以上に査定額を上げるのは難しいでしょう。
売却目的でのオールペンはおすすめできません。
中古車が売れやすい時期
車の査定額は買取りに出す時期によっても変わります。
中古車の需要が高い時期、1年の間であれば新生活が始まる前の1~3月、車屋の決算時期前である7~9月などが比較的高く売れるのでおすすめです。
売りに出す時期が違うだけで査定額にかなり差が出てくるので時期に注目しましょう。
車内も美しく
車の査定額を上げるためには、外装だけでなく内装も美しくしておくことが大切です。
特に、シートはマット類がきれいだと査定士の印象も良くなります。
タバコ・ペットなど匂いが染みついているとそれも査定でマイナスになるので、車内ではタバコを吸わないなど日頃から気を付けておくのも重要です。
できれば査定に出す前に洗車をして車内も掃除しておきましょう。
純正パーツを持っていく
純正パーツとは、新車で購入した時についていたパーツのことです。
このパーツは質が良く人気も高いため、査定時にプラスになります。
査定時に車に装着していない場合でも純正パーツを持ち込むと、査定額が上がるので持ち込みましょう。
まとめ
オールペンとは車の全塗装のことを言います。
オールペンすると見た目が美しくなり新車のようになるため人気です。
しかし、オールペンした車は買取り査定の際に査定金額を下げてしまうことが多いです。
オールペンした車の査定額が下がる理由は、オールペンした車は売れにくいこと、塗装の質が下がること、純正カラーに人気が集中することなどが挙げられます。
一見オールペンすると車は美しくなりますが、美しい状態を保てる期間は新車時の塗装よりも短い場合が多いです。
査定額を上げるためにオールペンしても逆に査定額を下げてしまう可能性の方が高いので、査定額UPのためにオールペンをするのは控えましょう。